女優菊地凛子(42)が29日、東京・テアトル新宿で、主演映画「658km、陽子の旅」(熊切和嘉監督)の公開記念舞台あいさつに出席し、感涙した。

「空の穴」以来、22年ぶりに熊切監督の作品に出演した菊地は「長く役者をやっていて良かった。初めて役名の付いた役をいただいたのが熊切監督でした。自分は呼んでいただけないのかなと思いつつ、こうして呼んでいただいた。40歳になってこれから何役、何作できるだろうと漠然とした不安を抱えている時に、この作品を一緒にやろうと言ってくださって何よりうれしかった」と話した。

また、主人公の再生を描いた作品に自分を重ね「私も映画に救われてきました。いろんなことがあっても映画を見て前向きにやってきたので……うれしいです」と涙し「スイッチが入っちゃうと、情緒不安定になっちゃって」と苦笑いした。

主人公の父を演じたオダギリは、菊地について「情緒不安定な感じとかすごい好きですね。そういう女優さんってすてきじゃないですか。必要ですよ、そういう感受性って」と応じていた。

同作は上海国際映画祭で最優秀作品賞、菊地は最優秀女優賞を受賞した。宣伝費節約のため、授賞式後はすぐに帰国することになっていた。菊地は「取ると思ってなかったのに、3つも賞を取らせていただいた。でも私たちはすぐ飛行機に乗らなきゃいけない。トイレで早着替えして、トロフィーを生身で持ったりして、急いで飛行機に向かいました。でも結局、飛行機が1時間くらい遅れて、空港のバーでビールで乾杯しました。いやあ、いいビールでした」と振り返った。